笹井芳樹


笹井芳樹

笹井芳樹(ささいよしき 1962年3月5日生)
 [発生学者/医学者]


 京都府出身。京都大学博士(医学)。京都大学再生医科学研究所教授、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)グループディレクター、同副センター長を歴任した。神経系の初期発生過程における遺伝子・細胞レベルの研究者として知られ、世界で初めてES細胞による網膜の分化誘導や立体的な網膜の生成に成功。更にES細胞から視床下部前駆細胞の分化誘導、脳下垂体の立体的な形成にも成功し、井上学術賞、山崎貞一賞、武田医学賞、上原賞等を受賞している。論文執筆の天才とも呼ばれ、センター全体の資金調達や神戸医療産業都市関連の事業でも活躍。文部科学省や科学技術振興機構の再生医療プロジェクトや委員会でも手腕を見せた。

 2014年1月に小保方晴子(理化学研究所)らが、チャールズ・バカンティ(ハーバード・メディカルスクール)や若山照彦(山梨大学)と共同でSTAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)を発見したとして、論文2本をネイチャーに発表した。発表直後には、生物学の常識をくつがえす大発見とされ、小保方が若い女性研究者であることに注目した大々的な報道もあって世間から大いに注目された。1月28日のSTAP研究発表の記者会見には笹井も同席し、ネイチャーに載った25年間の論文の中で最もインパクトがある、その成果を強調していたが、この論文に疑義が生じ始める。当初は論文の結論に影響がないと見られており、笹井も2月下旬の懇親会では目を輝かせながらCDBの同僚にSTAP研究への参加を呼び掛けていた。しかし続出する致命的な疑義を受け、3月10日には共同著者の若山照彦が論文撤回を呼び掛ることになり、事態は混迷を深めていく。3月11日には「なぜ、こんな負の連鎖になるのか、悲しくなってくる」と新聞記者に吐露し、竹市雅俊センター長には副センター長の職を辞したい旨を伝えていたが、調査中のため辞職は認められなかった。精神的ストレスのため心療内科を受診し、同月から1ヶ月ほど休職して入院していた。退院後の4月16日には記者会見を開き、謝罪を行った。会見前には「できるだけ率直にお話ししたいが、理研の立場の範囲だと思う」と述べ、会見には普段あまり付けない理研のバッジを胸にして臨んだ。会見では「STAPは最も合理性のある仮説」として科学的説明を行い、ハーバードとの関係や研究の変遷について事実関係を明らかにしたが、責任逃れと批判されることにもなった。笹井の管理責任は厳しく指摘され、6月12日には理研改革委員会から「笹井氏の責任は重大」と指摘され、幹部退任を提言されるなど笹井への批判は強まっていた。研究予算の使途など疑惑は深まり、6月30日には科学的な疑義を対象とする新たな調査が始まることになる。このような状況のもと、笹井は6月頃には研究室の研究員に「研究室を閉めるから行き先を探すように」と語っていた、体調が悪化しながらも、研究員の就職先探しや論文指導に熱心に取り組むとともに、各種プロジェクトの代表交代準備も進めていた。また、7月2日のネイチャー論文撤回にあたり、笹井は「不正を防ぐ指導を徹底しきれなかった」「整合性を疑念なく語ることは困難」とのコメントを出し、その主張を後退させていた。

 同年7月25日には研究の議論も成立しない状態に陥り、研究員から報告を受けたセンター長の竹市雅俊は健康管理室に相談、笹井を医師に受診させることを勧められていた。丹羽仁史や小保方晴子の検証実験が注目される中、7月27日にはSTAP事件の特集がテレビ放映され、笹井についても大きく取り上げられ、8月4日の理研の声明でも新たな調査結果に伴って、共著者の処分が大きく変わることが言及されていた。8月5日午前9時、神戸市中央区にある先端医療センターの自らの研究室がある研究棟内(4階と5階の間の踊り場)で首吊りになった状態をCDB職員によって発見され、医師が死亡を確認。同日午前11時3分、警察に通報後に搬送された搬送先の神戸市立医療センター中央市民病院で正式に死亡が確認された。兵庫県警察は自殺とみており、秘書の机や現場、自宅に複数の遺書が残されていた。理研と家族で対応を検討し始めていた矢先の出来事であった。

 自殺に伴う理化学研究所の会見において、笹井について理研広報室長は「6月ごろの電話では普通の話し方ではなかった。以前のように元気で力強い話し方でなくなっていた」「(最近は)薬の副作用なのか、はっきりと言葉をしゃべれない状態だった」と語った。また、笹井氏を自殺まで追い詰めた要因のひとつは、小保方晴子の処分を先延ばしし、解決への道を長引かせたことではないか、との記者からの指摘に対して「そういう一面もある」と認める発言をした。日本国外でも大きく報道され、『ネイチャー』は編集主幹が「悲劇」「科学者コミュニティーの多大な損失」と声明を発表するとともに、同誌のニュースブログでも取り上げた。また、他の多くの学術誌においても、追悼記事が掲載されていった。

 2014年8月5日死去(享年52)


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